あれは3才位の時だったと思う・・・
「神さまって、どこにいるの?」と僕は母に尋ねた。
台所で料理をしていた母は、手を止めずに少し間をおいて
「そうねえ、心の中にいるのよ」と答えてくれた。
田の草取りをしていたら、そんなことを思い出した。
その前後は全く繋がらないのだけれど、その2、3分の記憶がふと
浮かんで来たのだ。
梅雨の晴れ間、真夏のようなお日さまが背中にあたってジリジリするが、
ずっとスタジオでアルバムを制作していた身にはむしろ気持ちが良い。
田んぼをかき混ぜる水の音に、時々急接近してくる虫の羽音に、
谷に響くウグイスの鳴き声に、空っぽになった身が浸っている。
僕はその答えに今とても感謝する。きっとその後の人生にとても影響した
出来事だっただろう。でも今もし僕がそういうふうに聞かれたら、
何て答えるだろう。
・・自然界は太陽や地球から植物、動物、虫やプランクトンに至るまで、
それぞれに自立して役立ち合ながらシンクロして繋がって進化している。
そこに共振しているのは大きなひとつの意識と言えるだろう。
我々人間も肉体を持つ身として自我も必要ではあるが、世界としての
自分もこの身には宿している。そして世界としての自分は大きなひとつの
意識と共振している・・・
この日差しの下での田の草取りは休み休みにしなければ大変だ。
トンボたちも稲の木陰て休んでいる。ああ日陰が嬉しい季節に
なってきたものだ。
あと半月もすれば稲はグンと背を延ばし、風が吹くと海原のように
波うつ光景になる。
それは田んぼが一年でいちばん光り輝く季節だ。
そうだ、こんな答えはどうだろう・・
「私たちは皆、神さまの中にいて、私たちの中にも神さまがいるんだよ」
風が吹くと花吹雪が谷に舞う。
泥を盛ったばかりの苗代や、オタマジャクシがいっぱいの田んぼを
祝福するように、花びらが舞い降りた。種蒔きの季節だ。
今日は芽を出したコシヒカリ、緑米、黒米の種モミを蒔く。
安田喜憲著「一万年前」によれば、約一万五千年前に最後の氷河期が終り
環境が大きく変化すると同時に、東アジアの海沿いには広大な森林が
成長した。その森に、土器を作って森の幸や海の幸を煮炊きする文化が
現れるのが縄文の始まりのようだ。
そのような森の大回廊沿いに、長江中域で一万四千年前に始まった稲作は
三千年前頃に日本列島まで伝わったという。
実は縄文時代に稲作は始まっていたのだ。
ウグイスの鳴き方も上手になってきた。
山吹が満開で谷の縁が黄金色だ。
今日蒔いている種モミも、実りを繰り返しながら縄文から命を繋げて来たのだ
と思うと、何てありがたいことだろう。
冬から水を張り、耕さず、肥料を入れずにいることで、田は沼のようになる。
それは元々稲の原種が繁殖していた、稲にとってはありのままの状態だ。
だから病気もないし虫にも強いし気候の変動にも対応力がある稲が育つ。
とてもシンプルな話。
水辺で跳ねているセキレイに出会う。
ツバメ達が巣作りの泥を取りに来て舞っている。
夕暮れになると、急いで谷の奥の方へ帰宅するカモの番いが
頭上を飛んで行く。山の背を輝かせて一二夜の月が昇り始めた。
実は僕たちが考えていたより自然は高次元のシンクロシステムだ。
僕たちの心もそちらに開けば、よりありのままに、直感的な世界に
繋がっているのだ。
畔道を歩むということ。ありのままの自然の生命の響き合いのなかで、
自分の食べる分の作物を育てること。
それは三次元的に固定されてしまった現代という意識から脱して行くための、
とても楽しくてシンプルなひとつの方法だ。
rice paper 88 連載のエッセイ「畔道じかんNo.26」をアップしました。
おもしろい日本ミツバチの話を聞いた。
春先、女王バチは分家をするための新しい女王を産む。
そして、ある天気の良い日に、なんと群れの半分、15000匹
程の働きバチが新女王に付いて巣を飛び立つのだ。
そのために、あらかじめオスの偵察係が四方八方に飛び、巣に適した穴蔵を探しまわるのだと言う。
一方、ハニー・ハンターはその偵察係のハチが好みそうな
所に、気に入りそうな巣箱をセットして、群れを招くのだ。
自然からの情報を群れの中で伝達し合って生きているミツ
バチ達。その習性を知ったハニー・ハンターは蜜を得ること
ができるわけだ。
また、日本ミツバチの特性として、単一の花に群がらず、
多種類の花の蜜を集めるというのも興味深い。
たとえば、巣の前にレンゲ畑があったとしても全員がそこに
行くのではなく、それぞれのハチが多種多様な野の花を飛
び交い蜜を集めるのだそうだ。
なにか、それってとても縄文的じゃないか?
そんな話をしてくれたフィル君は、ハチのことを知り尽くした
養蜂家の先生から教えを受けた。そして去年、彼自身で日
本ミツバチの群れを招くことに見事成功して、その縄文的
蜜を味わうことができたのだ。
春の田んぼで、今日はなんという幸運だろう。
日本ミツバチの貴重な情報を得たうえに、自作の巣箱を
フィルが持って来てくれたんだ。
懐かしい未来に
美しい景色がみえる
太古の文字のなかで
ネイティブフルートがこだまする
真砂秀朗が自らのルーツと縁をたどる旅の中で出会ったネイティブ
スピリットとこころでつながる いのちの世界へ捧げる
2009年発売最新アルバム《いのちのもり》と自然をテーマに、
太古の人々の感性に触れ 縄文のムラに思いを馳せながら
自由に筆を遊ばせる平成縄文人 酒匂溪香の?書と音のコラボレーションライブ?です。
どうぞお楽しみください
西宮 廣田神社
4/29(木・祝)
開場14:00 開演15:00
前売り3000円 当日3500円
西宮 廣田神社 参集殿2階大広間
兵庫県西宮市大社町7-7
主催:22Project 協賛:?さんびいむ
後援:西宮市・西宮市文化振興財団
神戸新聞社・FM OSAKA・日本熊森協会
ご予約・お問い合わせ
TEL 06-6946-9351 FAX 06-6946-9481
080-3205-2552
mahoroba22@gmail.com
風に乗って なつかしい未来へ・・・美しい景色が観える
昨年12月 Cayでゲスト参加してくれたYaeさんを迎えたユニットで
再び いのちのもりを神宮の森で みなさま是非、足を運んでお楽しみください。
母なる地球と、つながるいのちへの感謝。
演奏時間は4月18日 の エンディング
16:20 真砂秀朗(インディアンフルート)・ Yae(歌)・遠藤晶美(ギター)・Kaz(ギター)・吉田ケンゴ(パーカッション)