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Chaco Canyon そして縄文まつり
 今年の春分の日は南国青島神社の竜宮のような亜熱帯植物に囲まれた奥の院で

笛を吹いて奉納をした。

そして秋分には全く対照的な乾燥した大陸の高台にあるチャコキャニオン

笛を奉納していた。

延々と続く荒野からは地平線しか見えないが、近寄ってみると何十メートルも

下のレベルに一つの村が入るようなキャニオンに囲まれた空間があり、そこには

アナサジと呼ばれる古代の人々が岩を積んで建てた巨大な遺跡の数々が今も

残っている。




この地に来るのは10年ぶり、5回目のチャコキャニオンだ。

ここに立つ自分の状況は毎回変わっているが、目や心に映るものはいつも同じだ。

さまざまな色に移りながら染まる明け方の空とキャニオンの岩肌、昼間はまるで

太陽の国にいるような光の世界、日暮れには空と大地が一つの色に中に溶け込み、

そして夜は、まるで星の海に漂う船のように宇宙と対面する。

目に映るものは、一日一日繰り返し廻るその風景と過酷な気温差と乾燥のなかで

生きるハーブたちと時折めぐり合う動物たち以外何も無い。

ここに暮らしていたアナサジのスピリットが心に映る。

だからこそ、自分のなかに知らず知らずのうちに作っていた枠組みが

あぶり出され、リセットされてしまうのだ。






始めてここに来たのは92年、そして自分にとって始めてのインディアンフルート

のアルバム「Chaco Journey」を録音するために遠藤晶美とエンジニアの今は亡き

森さんとやって来たのは94年だった。そこから音も絵もぼくにとっての表現が

始まったのだ。

今回旅を共にするみんなに、そしてチャコキャニオンに聴いてもらうために、笛を

吹いた。19年前にここで生まれた曲をここで奏でられることにありがたさが

沸き上がって来る。

旅の友とチャコキャニオンのスピリットに感謝。

岩陰にいた小鳥が笛に合わせて鳴き始めた・・


                photo/Mami



最後の即興演奏を終えて、目を開けると日が暮れていて、キャニオンの

中央にある岩山がシルエットになっている。その時それが横たわるインディアンの

横顔に観えた。 Ho!   スリーピング インディアン!





目を覚ますとテントの天井に光りが差していたいたので、もう朝なのかと思って

外へ出ると、月が天空で煌煌と輝いているのだった。それはキャニオン中が

見える程の明るさだ。昼間とは打って変わって冷え冷えとしたベンチに仰向けに

なって時を忘れる程、月と星々の輝きに見とれてしまった。

月から少し離れて丁度真上にスバルが見える。少し下がるとオリオンがある。

何かの本で読んだインディアンの風習を思い出した。遠くは慣れた家族や友人に

宛てた伝言をオリオンの四角のなかに置いておくと、相手はその四角から伝言を

受け取る・・・確かそういう話だった。







ニューメキシコから帰って翌々日、淡路島で開かれている「縄文まつり」に向かった。

アメリカのハイウェイに慣れてしまった感覚で新東名や新名神を一気に走る。

旅は続いているのだ。

到着して2日目の夜、竹とワラで作られた縄文ドーム、キャンドルの灯りで、

久々に再会したエバレット・ブラウンと武田好史の「縄文とエロス」と題された

対談に聞き入った。




「縄目を写す、火を移す、縄文土器というメタファー。映し映されるという

関係のなかにこそ主体があるのではないか。それが縄文性ではないか・・」

武田さんの言葉がぼくのなかにストンと入ってきた。

そういえば、この祭りでぼくが担当したワークショップも「自分の心を写す水彩画〜

その絵をみんなの心に映し合う」というテーマであった。



最終日に、94年に共にチャコキャニオンで録音した遠藤晶美と「Chaco Journey」

から「惑星の夜明け」と「星の海」を演奏した。

思いっきりチャコキャニオンの風景を心に映し、笛を吹いた。

つづいて西表の石垣金星を招いての真南風(マーパイ)ユニットでは、西表島の

自然を心に映して「真南風」の数曲を演奏した。



心に風景のスピリットを映して笛を吹く。

音が人の心に響けば、スピリットは写り、移り、映り合う・・・

この祭りのお陰で笛を吹くということの意味がもう一つ腑に落ちた思いがした。


                                                                         photo/ori ka



国という枠組み、経済という枠組み、自己という枠組み・・

自分を確立しようという思いで、主体であると錯覚してしまった自己。

それが積み重なって自己崩壊にまで至ってしまったように見える文明。


でもリアリティーは、互いにうつし合いシンクロしている世界。

そのシンクロする縁のなかに自然にうつし出されて、

「わたし」は見えてくるのだろう。












映り合う心、それが世界。

旅が映してくれるもの、それがぼく。





   

           シャーマンに出会う

       世界が観るビジョンを知る


       ハンターに出会う

       風と静寂を味方にしビジョンをとらえる


       戦士に出会う

       円い大地に根ざす愛と力


       ダンサーに出会う

       自分の中心にある自然のスピリット


         わたしにであう

       この星に生まれ

       過去と未来をつなぐ

       ほんとうのわたし

       世界を織りなす

       ほんとうのわたし




        「星の神話さがし」より


 
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